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ブログを移転して心機一転。 二次創作の小説の公開や色んな感想を気の向くままに書いています。
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今思えば、はてなダイアリーは小説を書くのには不適かもしれません。


自動的にリンクされる機能が煩わしいと仰せの方は、書き終えたあとにhtml化しますので


そちらでお読みください。





それでは小説本編、どうぞ。


-------------------------------





○月○日


今日は私の17歳の誕生日でした。


今、こうしてここで日記を書いていることが信じられません。


私は、ズフィル-ドの巫女として、バルマーのためにこの身を捧げるはずだったのですから。


1年前と状況が何も変わっていなければ、その運命は変わらなかったでしょう。


ルアフ様に地球に行きたいと申し上げたのもこの日でした。


あの時は、自由が欲しかった………。バルマー星や臣民たちのことは愛しています、


それは今も変わらないことです。だけど、私は私自身も知らない間に窮屈さを感じて


いたのでしょう。今の生活も窮屈といえば窮屈なのですが、あの頃とは意味合いが違います。


私の運命が変わったのは、あの日からだったのでしょう。


あの日、陛下に申し上げて、遥かなる母星を発ち、あの方々にお会いしたから、


私の運命が変わったのでしょう。


正確には、あの方々……α-ナンバーズに会うきっかけを作ってくれた、あの方にお会いしたから。





今晩は本当に楽しいひと時を過ごしました。


ルリアやバラン、サルデスやヒラデルヒアも私が生まれたこの日を喜んでくれました。


その上、ルリアが気を利かせて、懐かしいあの方々を呼んだのです。


ゼオラやアラド、ヴィレッタさんやSRXチームの皆さん、他にも沢山の方々が来て下さった。


昔のままならば迎えることのない誕生日でしたが、私にとって最も嬉しく、思い出に残る


誕生日となりました。


ルリアもバランも、他の側近たちも、素直に喜んでくれて嬉しかった。


1年前の誕生日では、表面上は喜んでくれても、内では同情のような感情が皆にありました。


あの時は皆も、私が今日のような日を迎えることは出来ないと確信していたからでしょう。


今晩は本当に楽しいひと時を過ごしました。


これで…………あの方がいらしたら、どんなに嬉しかったでしょう。


あの人、私の誕生日を知っていないのかしら?………教えていませんものね。


私はあの人の誕生日をお祝いしてあげたのに…………


アラドやゼオラに教えてもらったからですし、α-ナンバーズでも大きなパーティを開いたからですが……。


あの時は、最初は困惑していたようですが、いつもは滅多に見せない微笑を沢山みせてくれましたわ。


もし、今日、私の誕生日に来てくださったのなら、あの笑顔を見せてくれたでしょうか………?





あの方に………クォヴレーに、会いたい。

















公務で主がいなくなった部屋。


主の忘れ物を取りに来ていた侍従は、偶然開かれていた日記を見て、深くため息をついた。


初めのうちは一時の恋だと思っていた。広大な世界を見始めた多感な少女が、


世界への導き手に心惹かれるのは当然であると思っていた。


少女の感情を、恋とは微妙に違うものだと思っていたのだ。


例えば、生まれて間もない雛が何の疑問も持たずに親鳥についていくようなもの。


縋るものが目の前にあるものしかないのならば、それに着いて行くしかない。


戦争が終わった後、あの少年が平行世界に旅立ったと知っても、大事には思っていなかった。


確かに主たる少女はあの少年を傍に置いておくことを望んでいたが、数々の困難を経て、


少女は縋るものがなくても歩いていける程強くなったし、ふと道に迷ったときに指し示す者……


それは、侍従たる自分であったり、護衛でドバン家当主であるバランであったり、他に少女を


支える者……が傍にいるから、大丈夫であると、思っていた。


しかし、あの少年がいなくなり、時間が経てば経つほど、少女の瞳に憂いの色が見え始めた。


ああ見えて気丈な少女である。現在はバルマーの臣民を背負って立っているのである。


表にはそんな素振りは欠片も見せない。どんな困難が前にあろうと、


頑張らなくてはなりませんねと、笑って言って見せた。


だけどその裏で、少女は泣いているのだ。


部屋から人払いをして、周囲に本当に人がいないかと十分な注意を惰らないで確認して、


誰もいないと分かると少女は泣き出した。


「クォヴレー、私はどうすればいいのかしら……クォヴレー、クォヴレー………


 あなたに………あなたに会いたい………………!」


幼い頃から訓練をしていたために、ある程度気配を消して近づくことは習得していた。


そして侍従という立場から、主の元へ行かねばならない用事は腐るほどあった。


困難という壁が立ちはだかったとき、主の部屋からはいつも、すすり泣く声が聞こえてきた。


それは、バルマーの指導者である姫君ではなく、少女としての、ありのままのアルマナの姿であった。





「どうにかして、あの者が帰ってこないだろうか」


涙で滲んだ日記を見て、ルリアは呟くように問うた。


その答えは分かっていた。


彼は平行世界の番人なのだ。その務めが終わらない限り……すべての平行世界が平和にならない限り、


帰ってくることはないだろう。


そして全ての世界が平和になるためには、途方もない時間がかかることは間違いない。


――――そんなことは分かっている、だけれど……


ルリアは、アルマナのことを思い、もう一度ため息をついた。





 


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