6日といいつつ7日の深夜に書いてます。
3日から始めた中編の紅茶のお話はひとまず置いておいて、htmlに直したら1ページでちゃんと
おさまるような短編を書きます。
実は、まだサイト2周年&20000hitのお祝いをしていないのです。
……すんません、D.G別館に明け暮れて……もいなかったか、だけど別館より更新がなかったのは事実。
完結したOnce moreをお祝い小説にしようかと思いましたが、
あれはいかんせん長いですので、今回の短編をお祝い小説にするつもりで書きます。
それにネタ的にも陰鬱に見えなくもないしかも姫が泣いている小説お嫁に出したらだめですよね。
戯言もいい加減にして始めます。
それでは本編どうぞ。
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噴水の前にあるベンチに、1人の少女が座っている。
気持ちのいい空の下で本を読むわけでもなく、
赤や黄色など春夏とは違った色に染まる木々の葉を見るわけでもなく、少女はただひたすらに待ち続けていた。
細い足をそろえ、膝の上に手を乗せ、目の前でさわさわと音を立てて流れ続ける噴水をぼんやりと眺めながら、しかし少女の思考はそこにあらず、彼女の意識は1週間ほど前に約束した時に戻っていた。
ああ、まだかしら。こんなに待っているのに。
早く会いたいと願い続ける少女の声が届いたのか、彼女の頭が後ろからこつんと小突かれた。
「もう、遅いじゃないですか、クォヴレー!」
少年にしてみれば小突いたつもりでも、少女にとっては少しばかり痛いものだったらしい。
少女は後頭部を片手で押さえつつ、後ろを振り向き、ベンチの背もたれ越しに想い人の顔を見た。
クォヴレーと呼ばれた銀髪の少年は、僅かではあるが眉を顰めた。
「まだ待ち合わせの15分前だぞ、アルマナ」
彼は自らの左腕の時計を指差しつつ言うものの、すぐにアルマナからの反論が返ってくる。
「殿方が先に来るのは当たり前でしょう!
………早すぎたかもしれませんが、ですけど、私、今日をとってもとっても楽しみにしていたんですもの、
30分くらい前に来たって不思議ではないでしょう」
30分も前に来ていたのか……
クォヴレーはアルマナの気の早さに呆れたのだが、彼女がそんなにも自分と会うことを楽しみにしていてくれたことに、不意に心の底が熱くなるのを感じた。
だが、それを素直に表に出す彼ではない。
「分かった分かった、埋め合わせは何でもする。
とりあえずここにいたって何にもならないから、行くぞ」
「はい!」
膨れ面と怒ったような口調はしていたが、彼女はクォヴレーに会うのが本当に嬉しくて堪らないらしく、
クォヴレーの言葉に満面の笑みで頷き、小さなバッグを持って、跳ねるようにベンチから立ち上がると、
そのまま彼の右腕に引っ付いた。
「おい、アルマナ………腕にくっ付くのは……」
「あら、何でもしてくれるんじゃなかったのですか?」
そう言われると反論の言葉はどこにもないのだが、
彼にも周りの人間に見られる気恥ずかしさがあり、彼にとっても彼女は好意を寄せる相手であり、
尚且つ絡み合う腕だとか、彼女の意識外で彼の身体に当たる胸の柔らかさとか、
感情的な要素と本能的な要素が複雑に入り混じって、その結果か、クォヴレーの頬はうっすらと赤みを帯びていた。
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いちゃいちゃバカップル、を目指します。
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