中編その1としたのは、今日は書ききる前に力尽きて寝てしまうと思ったからです。
HTMLに直して読みきり1ページ分を目指してますが、文章量が多くなりそう……。
それでは本編どうぞ。
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クォヴレーとアルマナは、前大戦の最中に想いを抱きあう中となっていた。
戦いの中で密かに芽生えた恋の道のりは、決して平坦なものではなかった。
クォヴレーはαナンバーズの一員であるにしてもあくまで一人の兵士に過ぎず、
対してアルマナはバルマーの臣民の期待を背負って立つズフィル―ドの巫女である。
まず立場が違う。本人たちはつまらないことだと一蹴したが、周りの人間にとっては一大事であった。
特に、アルマナの場合は。
侍従のルリアや護衛のバラン、サルデスやヒラデルヒア、その他諸々のバルマーの者達がアルマナの告白を聞いた時は、それはもう大騒動が起きた。
ルリアは血の気が引いた表情でアルマナに真偽を問いただし、
バランは「あの小僧、姫様をたぶらかしおって!!」と額に青筋を何本も立て、白目を剥き出しにしてべミドバンの待つ格納庫に向かった。
そのバランの後ろに「私たちもお手伝いします」とサルデスとヒラデルヒアがついて行き、アルマナは
「あの者に何か弱みを握られたのですね」と涙ながらに自分勝手な解釈をするルリアを押し退けて
いざ出撃せんと戦意を高揚させながら準備をする武人3人を止めに行った。
クォヴレーの場合はどうだったかというと、それ程大きな問題にはならなかった。
確かに今まで敵方だった国の姫君と交際するというのは、外交上大きな問題になりうることなのだが、
αナンバーズの場合は二件ほど前例があったので、アルマナの場合のように騒動は勃発せず、
クォヴレーには仲間からの祝福と励ましの言葉が贈られたのであった。
アルマナがルリアやバラン、サルデスとヒラデルヒアを説き伏せたのもつかの間のことで、
大戦が終わり、クォヴレーが誰にも行方を告げず去ったことがバルマー側に伝えられると、
今度はルリアも一緒になって制裁をと叫びながら立ち上がったのだが、復興への問題を抱えている状態で
平行世界と飛ぶなどということは出来ず、もの悲しげに佇むアルマナを励ましたのだった。
「もうあの者のことなどお忘れ下さい」と、何度言われようと、アルマナは諦めずにクォヴレーを待ち続けた。
あの戦いの最中で、辛い出来事に揺らぐことなく心が通じ合ったのだから、今でも心は通じているはずだと言って。
姿を消してから半年ほど経過したある夜に、クォヴレーはアルマナの目の前に姿を表した。
すまないと切なそうに謝罪の言葉を入れた後、彼はアルマナに話し始めた。
これは一時の帰還であり、自分はこれからかなりの年月をかけて平行世界全てを平和にするために戦い続けること、
そのため、アルマナの傍にずっといることは出来ないこと、しかし、このように時々、ほんの僅かな時間にしか過ぎないけど戻ってくることが出来ること。
気休めにもならないかもしれない時間だが、それでもいいなら定期的に帰ってくると話したクォヴレーに、
アルマナはそれでもあなたに会えるのは嬉しいと泣き顔で笑って見せた。
誰にも知られてはいけない、静かな夜の逢瀬。
2人でいられる唯一の時間に変化が生じることになったのは、クォヴレーの一言がきっかけだった。
「αナンバーズへの挨拶も兼ねてだが……近々、そっちにしばらく滞在することにした。
それで……良かったら、外に出かけないか?」
思わぬクォヴレーの申し出に、アルマナはすぐさまコクコクと頷いたのだった。
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