だらだら書きつづけています。
この連休中には完結に漕ぎ着けたいです。
それでは本編どうぞ~。
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煉瓦色を基調とした秋の街の風景は、文字通り2人の歩く道の”背景”となっていた。
2人の間に流れる空気が、街と良く調和していた。それだけならば他の恋人たちと同じである。
賑やかさと穏やかさを同居させているこの街は、目立ち過ぎず地味過ぎないその色合いも手伝ってか、
クォヴレーとアルマナを完全に街の中に埋もれさせず、むしろ2人を丁度いい具合に引き立てていた。
対称色の関係と言えば分かりやすいだろうか。
白いキャンパスの上に赤い絵の具を置いても、赤い色は白の中で孤立する。
緑の絵の具を置いてみてもそれは同じことである。
だが、緑の森の中に赤い屋根の家があればどうだろう。屋根の赤い色は森の中で映え、一層鮮やかさを増し、
森の、長い年月を過ごした証拠である緑は一段と深くなる。
相手の魅力を殺すことなく、逆に何倍にも増幅させる関係。
今のクォヴレーとアルマナは、街の風景に馴染んではいたが、周りを歩く人々の中に溶けて消えてしまいはせず、
2人とも整った顔立ちも相まって、人々の視線を集めていた。
とはいっても、例えばアイドルが突然やって来て騒ぎが始まるような、調和も何もない視線の集め方ではなく、
一見、何も変わったところはないように見えるが、ふっと気が付くと、2人を目で追っている………
いつの間にか目が奪われてしまう、そんな視線の集め方をしていた。
それも、2人ともとてもに楽しそうに、街をただ練り歩いているだけのこの時間さえいとおしんで、
見ている方まで微笑んでしまうような笑顔で並木道を行くのだから、見守りたくもなる。
アルマナは、地球の街はおろか、自分の生まれ育った国の街でさえ、指折りで数えられるほどしかその足で歩いたことがない。
霊帝がいた頃のバルマーでは、ズフィルードの巫女として籠の鳥も同然の生活をしていたので、仕方ない。
現在も外交で地球に来ては、何とか時間を見つけ出しては、様々な街や場所に赴くのだが、
何せ他の星から来ている指導者なのである、十分な時間は取れるわけもない。
そしてアルマナは、指導者とは言ってもまだまだ遊びたい盛りの少女である。
長く、巫女として短くして終わる人生を受け入れ、様々な夢を抑えてきた。
普通の人から見れば他愛のないことのように思える夢を。
一度、抑制してきたものを開放すると、歯止めが利かなくなるものだ。
前の大戦が終わり、戦後処理のために地球に滞在していた時、アルマナは機会があって、ゼオラたちとともに街に繰り出すことになった。
その街で体験したものの楽しいこと。艦に戻る頃には、今まで味わったことのなかった楽しさに、アルマナの心はすっかり占領されていた。
それ以来、アルマナはバルマーの指導者としてしっかりと大役も果たすけれども、事あるごとに出かけるようにもなっていた。
今日はバルマーの代表者としての立場ではなく、私人として、それも想いを寄せ合う者とともに出かけるのだから、彼女がこの日を首を長くして待ち望んでいたのは想像に難くない。
彼女が想いを寄せる相手、クォヴレーは、意外にも街は歩きなれていた。
平行世界を旅するうちに自然と覚えたらしい。街で目立ちすぎない服装、その着こなし方、良品を売る店の見分け方、安い店の見分け方など、様々な技術を習得していた。
しかし、女性をエスコートするスキルについては、ほとんど経験がない。
当たり前の話であるが、彼にアルマナ以外にエスコートする女性は存在しないのだ。
”平行世界で使命を円滑に果たすため”と習得を試みたこともあったが、いつも罪悪感のようなものがそれを止めていた。
アルマナと並んで歩くクォヴレーは、アラドやその他αナンバーズの彼女を持つ男性たちにコツを伝授してもらったのだが、今ひとつ役に立っていない。
さて、これからどうしようか、困ったぞ、と彼が思い始めたところで、アルマナがクォヴレーの袖をクイクイと引っ張った。
「あの……クォヴレー……クレープを食べて、いいですか…………?」
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次回、やっと完結?
αナンバーズのお兄さんたちには、普通のデートに使えるようなコツではなく、
もっと別の場所で使うようなコツを教わったらしいですよ?
何かはご想像にお任せします。
クォヴレーも姫もお互い初恋同士で、クォヴレーはポーカーフェイスだけど
心の中でひっそりと、でも確実に照れたり慌ててたりしているといい。
アルマナ姫さまは、言葉に出すこと全て本音。素直。正直。
だけど最近駆け引きというものを覚えてきたらしいとか。
なんだ、私が今セレーナ編をプレイしているからか。
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