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ブログを移転して心機一転。 二次創作の小説の公開や色んな感想を気の向くままに書いています。
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6日といいつつ7日の深夜に書いてます。


3日から始めた中編の紅茶のお話はひとまず置いておいて、htmlに直したら1ページでちゃんと


おさまるような短編を書きます。


実は、まだサイト2周年&20000hitのお祝いをしていないのです。


……すんません、D.G別館に明け暮れて……もいなかったか、だけど別館より更新がなかったのは事実。


完結したOnce moreをお祝い小説にしようかと思いましたが、


あれはいかんせん長いですので、今回の短編をお祝い小説にするつもりで書きます。


それにネタ的にも陰鬱に見えなくもないしかも姫が泣いている小説お嫁に出したらだめですよね。


戯言もいい加減にして始めます。


それでは本編どうぞ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


噴水の前にあるベンチに、1人の少女が座っている。


気持ちのいい空の下で本を読むわけでもなく、


赤や黄色など春夏とは違った色に染まる木々の葉を見るわけでもなく、少女はただひたすらに待ち続けていた。


細い足をそろえ、膝の上に手を乗せ、目の前でさわさわと音を立てて流れ続ける噴水をぼんやりと眺めながら、しかし少女の思考はそこにあらず、彼女の意識は1週間ほど前に約束した時に戻っていた。


ああ、まだかしら。こんなに待っているのに。


早く会いたいと願い続ける少女の声が届いたのか、彼女の頭が後ろからこつんと小突かれた。


「もう、遅いじゃないですか、クォヴレー!」


少年にしてみれば小突いたつもりでも、少女にとっては少しばかり痛いものだったらしい。


少女は後頭部を片手で押さえつつ、後ろを振り向き、ベンチの背もたれ越しに想い人の顔を見た。


クォヴレーと呼ばれた銀髪の少年は、僅かではあるが眉を顰めた。


「まだ待ち合わせの15分前だぞ、アルマナ」


彼は自らの左腕の時計を指差しつつ言うものの、すぐにアルマナからの反論が返ってくる。


「殿方が先に来るのは当たり前でしょう!


 ………早すぎたかもしれませんが、ですけど、私、今日をとってもとっても楽しみにしていたんですもの、


 30分くらい前に来たって不思議ではないでしょう」





30分も前に来ていたのか……


クォヴレーはアルマナの気の早さに呆れたのだが、彼女がそんなにも自分と会うことを楽しみにしていてくれたことに、不意に心の底が熱くなるのを感じた。


だが、それを素直に表に出す彼ではない。


「分かった分かった、埋め合わせは何でもする。


 とりあえずここにいたって何にもならないから、行くぞ」


「はい!」


膨れ面と怒ったような口調はしていたが、彼女はクォヴレーに会うのが本当に嬉しくて堪らないらしく、


クォヴレーの言葉に満面の笑みで頷き、小さなバッグを持って、跳ねるようにベンチから立ち上がると、


そのまま彼の右腕に引っ付いた。


「おい、アルマナ………腕にくっ付くのは……」


「あら、何でもしてくれるんじゃなかったのですか?」


そう言われると反論の言葉はどこにもないのだが、


彼にも周りの人間に見られる気恥ずかしさがあり、彼にとっても彼女は好意を寄せる相手であり、


尚且つ絡み合う腕だとか、彼女の意識外で彼の身体に当たる胸の柔らかさとか、


感情的な要素と本能的な要素が複雑に入り混じって、その結果か、クォヴレーの頬はうっすらと赤みを帯びていた。








――――――――――――――――――――――――――――――――――――


いちゃいちゃバカップル、を目指します。


PR

我慢しきれずにメロディクリップに再入会(2年くらい前にスクウェアの楽曲が配信停止になったので、


スクエニメロディと入れ替える形で退会したのです)。


システムが変わったな。チケット制になったのか、よーし、最大30曲だ!と思ったら、


1曲3チケットかかるんですか。着うたになると5チケットくらい?


思ったよりシステム変わってないみたい……。


それでクォヴレーのベルグバウの時の戦闘曲(曲名は勿論知っているのですが、


下手に書いて検索に引っかかると申し訳ないので書きません)をダウンロードしました!


スクウェアみたいに中途半端に切れることなく、且つ音質もなかなか!


明日からの目覚ましにぴったり!!約10曲で300円はお高いですが、


ここほどゲーム系の着メロが揃っているところもないのでいかがでしょうか?


長い前置きはここまでにして、話を何とか思いついたので初めの部分だけ書きます。



  • クォヴレー編などと称しつつ、エンディング後のお話です。劇中の話ではありません。

  • クォヴレー×アルマナ、アラド×ゼオラ前提。

  • 書き始めて間もないので性格が違うかもしれませんが、そこはスルーして下さい……


 なるべく劇中の登場人物の性格に忠実に書けるように努力します。





それでは本編どうぞ。


――――――――――――――――――――――――――――――





あれから……全ての平行世界を守るために旅立ってから、どれだけ時間が経ったのだろう。


幾多の世界を巡り、戦いを続けてきた。元いた世界と同じ文明レベルの世界があれば、


遥かに高い技術を持つ世界もあり、その逆の世界もあった。


近くて遠い、似て非なる世界。それは、少し余計な力を加えれば音を立てて崩れるような、


微妙なバランスの中で折り重なっている。


途方もなく大きなトランプのピラミットのようなものだ。


トランプのカード一枚一枚が世界である。どこかが何かの衝撃で崩れてしまえば、


その影響はあっという間に他のカードにも伝わる。1つの衝撃がピラミット全てを崩してしまうことも少なくない。





この現象が、実際にこの世界で起きればどうなってしまうだろうか。


そんなことは考えたくない……そうさせないために、自分がいるのだ。


全ての世界を守るために、己の身を投げ打って戦い続ける。彼は自らその道を選んだ。


しかし……彼も1人の人間である。疲れを知らないカラクリ人形ではなく。





(少し、顔を覗かせるくらいならいいか?)





ディス・アストラナガンの微調整を行いつつ、クォヴレーは彼の故郷と呼べる世界に思いを巡らせていた。


数え切れない世界を飛んで、そこで様々な人々と出会っては別れ、それを繰り返し現在に至る。


どの場所も彼にとって守るべき対象であり、本来であれば格付けなどしてはいけないとは分かっているが、


それでも元の世界……必ず帰ると約束した、アラドとゼオラのいる世界は別であった。


だからこそ、気を軽くして頻繁に戻ってはいけないことも分かっている。


過度に同じ世界に次元を超えて干渉することは、因果律に影響を与えかねない。


それは、彼が現在していることとは逆のことだ。


クォヴレーは、全ての戦いが終わるまで、帰らないと心に決めていた。


だが、彼も人間なのである。


ゆっくりベッドの中に沈んでも、気晴らしに外を歩いていても癒えない疲れがある。


そして、旅を続けることにより、元の世界の仲間に話したいことが出来た。


旅の中で実際に見て感じたこと、現在の平行世界全体の様子などなど……


全てが終わってから話すのでは、恐らく一生掛かっても話しきれないだろう。


そして、何より彼は逆の立場に立ってみたいと思った。


旅立つ前は、アラドやゼオラ、その仲間たちに教わるばかりで自分自身が教えることはあまりなかった。


平行世界で見たもの、人、そして平行世界自体の話をしたいと思ったのだ。


それは、自分にしか知りえないものであり、その話を伝えるのは自分しかいないのだ。








「……行くぞ、アストラナガン」





主の声に応えるように、機体が低く唸る。


モニターの文字が煌めく。同時に機体全体に重力圧が掛かる。


身体に掛かる圧力が最大になった瞬間、銃神の名を冠した機体は次元を飛んでいた。





―――――――――――――――――――――――――――――――――





あれ、シリアス?



勢いほとんど、構想は隠し味程度に書いてきたこのお話も今回で最後……のはず。


処女作には、その人のその作品(あるいはカップリングなど)に対するイメージの全てが詰っているといいます。


作家は処女作に向かって成熟するとも言われます。


回りくどい言い方をしましたが、私のクォヴレー×アルマナの基本はこんな感じだということです。


……矛盾点があるのも仕様なのかな(汗)


それでは本編どうぞ。


――――――――――――――――――――――――――――――――


青白い月が満ち足りて、妖しげでもあり聖上でもある光で大地を照らす。


日中、地球に対する太陽に値する、この星の恒星が射す光と、月光の性質は違う。


日中の光は直線的である。光の下にいる者を射抜くように照らしつける。


だが、直線的である故に、応用性を持たない光でもある。一度影に入ってしまえば射すことはない。


こちらが貫かれるような、時に疎ましいと感じる光の矢も、影で防げばあっけなく折れた。


月光は、曲線的だ。下にいる者全てを柔らかく包み込む。


そしてひどく曖昧だ。月光の下では、どこからが影でどこからが光なのかが、


はっきりと引かれた境界線が存在しない。


どこまでも月光なのかもしれないし、どこまでも影なのかもしれない。


だから、月光から逃れることは難しい。


日光は、浴び続ければ死に至らせしめる病を患う可能性がある。


月光は、死には至らないものの、時折、妖しげな光で不可解な現象を起こすことがある。


現象が良いことか悪いことかは起きてみないことには分からない。


アルマナは、今回は月光に感謝することにした。


悲願を叶えてくれたのだから。





月光が白銀の髪に反射している。


鏡のように照らし返すその光は、自分を照らしているようだ、とアルマナは思った。


………都合のいい解釈かもしれない。


そんなことは分かっているけど、だけどそう思いたかった。


何も告げられず、告げることも出来ずに旅立ってしまった想い人。


無愛想で不器用で、優しさはあるのだろうが、それをはっきりと示すのが苦手な彼。


最後までその心がどこに向かっているのか計りかねたあの人。


戦いが終わるまでに、自らが心惹かれていることをこの口で、言葉で伝えられたなら、


こんなにも胸が締め付けられる思いをしなくても済んだだろう。


是であれば、それを希望として抱き、臆することなく進めた。


否であれば、彼には私と同じ大きな使命があるからと割り切ることが出来た。


答えが否であった時、立ち直るまでどれだけの時間を要するのか分からないが、それでも今のように


道が分からなくなったときにすすり泣くことはなかったのではないか。


(――――そんなことはどうでもいいの)


アルマナは視線の中にクォヴレーをしっかりと捉え、逃がさないように見つめ続けながら歩き出した。


いつのまにか胸の前には彼女の両手が重なり組まれており、震えていた。


道をゆっくりと歩む足も小刻みに震えている。そのためか、足取りは不安定である。


彼女自身も自分が震えているのがよく分かっていた。しかし、震えとはいつでも自分の意志で


止めることは困難なものである。


自分の身体に叱咤しようとも、その効果は知れたものだ。


それに、今は湖の前に佇む彼のもとへ行く方が大切だ。


アルマナは自分の意志に反し細かに揺れる身体を動かして、歩き続けた。








風波に揺らぐ水鏡。


新円を描く満月を映し、夜空の黒幕に光る星々を映し、自分自身の姿を映している。


普段は月と星空だけを映していたのだろうが、そこにサブリミナルのように異質な自分の姿が映りこんでいる。


普段は、ここからやや離れた場所にある屋敷の主を映しているのだろう。


まだ荒れたこの星の、少ない瞳の一つのこの湖とて、見知らぬ男を映したいわけではあるまい。


いつまでも安定せずに風景を揺らし続ける水鏡。


一つとして同じ風景はなく、同じ風景を作り出すことは出来ない万華鏡のような湖は、


彼の目から見ても美しく、飽きることもなかった。


テラフォーミングがまだ完全には終わっておらず、試験も兼ねて暫定的に人が住んでいる


この星では、音という音がしない。


聞こえるのは、風の音、風に揺れ擦れる葉の音だけである。


誰かが地面を蹴ったことは、すぐに分かった。


視界を、水面から音が聞こえた前方へ移す。


予想通りの人物が、湖を挟んだ彼の正面にいた。彼女の身体はふるふると震え、


その瞳は、一度瞬きをすればたちまち溢れ出しそうな涙で満たされている。


吸い込まれそうな蒼の瞳は、2人の間を隔てる小さな湖と同じものを映していた。


青白い月、瞬く星々、そして自分自身の姿。


彼女にとって、その瞳に映る自分の姿は異質なものではないと信じたい。


――――待っている、彼女が、言葉を口にすることを。





「アルマナ………」


「―――っ、本当にあなたですのね、クォヴレー………っ!」


瞳が閉じられ、それと同時に大粒の涙がほろほろと零れ始めた。


クォヴレーは柔らかく微笑むと、湖の周りを迂回して、その間も自分から決して視線を外さない


アルマナのもとへ歩み寄った。


彼が彼女の隣に立つより前に、彼女の方が歩く彼に走り寄って。


泣き顔で両腕を開いて、もう二度と、離れたくないと言わんばかりに、彼の身体に抱きついた。


クォヴレーの身体に、アルマナの身体の重みが伝わる。暖かで嬉しい重みだ。


自らの胸にすがり付いて泣きじゃくるアルマナの背をぽんぽんと叩きながら、


クォヴレーは穏やかに笑みを浮かべる。


アルマナはその笑顔に気づかず、止まらない涙を流しつづけていた。


抱き合った姿勢のまま、どれくらい立ったのか。


泣くだけ泣いて少しだけ平静を取り戻したアルマナが、彼の身体に絡みつけた腕を解いた。


そして左腕はクォヴレーの右腕を強く掴み、右手は彼の胸に軽く置く。


涙はないが、相変わらず自分を捕らえて離そうとしない瞳、月明かりの下で薄暗いが、


それでもはっきりと分かる紅潮した頬でクォヴレーを見上げ、口を開いた。


「クォヴレー……わ、私、あなたに言わなければならないことがあるのです」


声が震えている。枯れたと思った涙がまたアルマナの瞳を潤し始めた。


その瞳が、熱を帯びる。逸らしたいと思っているだろうが、逸らせない瞳。


なかなか言い出すことが出来ず、しばし間が空く。声は出掛かるが、言葉が出てこない。


………その様子で、彼女が自分に何を伝えたいか分かってしまった。


自分はこんな人間だっただろうかと、軽くため息をつくと、アルマナが言葉を紡ぐ前に


クォヴレーが口を開いた。


「いい」


「……え?」


何がいいのか、分からずに、アルマナは先ほどまでとは違う視線をクォヴレーに向けた。


「お前が言いたいことが分かったからいいと言っているんだ」





この言葉を聞いて、彼女がどんな反応をするか。それは別にどうでもよかった。


意識の外でアルマナが何か言っているのが分かるが、内容はよく分からない。


意思とは別のところで身体が動き出した。


掴まれていた右腕を無理矢理振り払う。アルマナはそこで絶望の表情を見せた。


宙で静止する彼女の左腕を乱暴に掴み、引き寄せた。


突然の行動にアルマナが呆気に取られているうちに、彼女の腰に左腕を回す。


掴んだ彼女の左腕を離し、空いた右腕で彼女の顎を都合のいい高さまで上げると、


クォヴレーはアルマナの唇を奪うように重ねた。


(終)


――――――――――――――――――――――――――――――――


書き足すかもしれませんが、お終いです。多分書き足すな、これ……。


長い。最後しかベタベタしてない!説明的で比喩表現が下手なのに多用していて、


どこか理屈っぽい文章。読みにくいことこの上ないと思いますが、


ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。


感想をコメント欄に書き込んで下さると嬉しいです、HP回復します。


この場でちゃっちゃと書き足し書きたいですが、


肩が痛くなってきたのでもう寝ます。


ちなみに書き足しは後日談のようなものです。


それではここまで読んで下さってありがとう御座いました!



この前眠気に勝てず尻切れトンボになった話の続き。


長編にするつもりはないですが、あと2回くらいは続きそうです。


ご覧になっている方、よろしければお付き合いくださいね。


リンク元を見たら、とある検索サイトさんから来ていらっしゃる方が多くて驚きました。


そのことよりも、このブログ(日記だろうが)が一番上にあるのにもっと驚きました。


やっぱりはてなで小説を書くのはいけないのだろうか……


それでは本編をどうぞ。


―――――――――――――――――――――――――――――


アルマナは目を閉じ、藍色掛かった宇宙の中に浮かぶ地球を思い浮かべた。


初めて地球を見たときの感動と言うべき心の震えは、今でも容易に思い出せる。


死にも繋がる永遠の闇に、目を奪われる深い青が見えた。


白い雲が地球を覆っていて、その青が見える部分は少なかったが、まるで奥深くに


隠された宝石のように、美しく輝いていた。


いや……地球そのものが宝石のようだと、そう思ったのを覚えている。


このように思ったことの要因の、大半は憧れから来る美化だったのかもしれない。


地球と対の惑星である彼女の故郷、バルマー星は、地球に良く似ていたのだ。


ルアフから1年間の自由をもらい、宇宙へ出た時に、アルマナは遠ざかるバルマー星を見ていた。


愛すべき民達がいて、愛すべき国がある、遥かなる故郷……そこから初めて離れたとき、


勿論不安はあったのだが、そのときはそれよりもまだ見ぬ地球に思いを寄せていた。


確かにバルマー星は見ていたけど、地球を見たときほどの震えはなかった。


もう1度見ることが出来るから。帰るべき故郷であるから。使命のために帰らねばならないから。


……永遠の眠りにつくのも、この地であると分かっていたから。


だからこそ、一度きりしか見ることの叶わぬ地球に、途方もないような憧れを抱いていたのだ。





瞳を閉じた闇の中に、地球が見える。


あの頃恋焦がれた場所。そこに住む人々は、勇敢さと優しさを兼ね備える人ばかりであった。


―――まだα-ナンバーズ以外の人にはあったことがないので、他の人々は分からないが――


真の霊帝が消滅し、その後の諸処理のために、1週間、地球の大地を踏んだことがある。


そう……それと、第2のバルマー星が見つかった後、快く援助の要請を受け入れてくれた人々に挨拶するために、今から4ヶ月前に地球に赴いたのだ。


どちらもバルマーの代表者という立場であったので、自由に過ごせる時間は少なかった。


とはいえ、時間が全くなかったわけでもない。


僅かながら空いた自由な時間は、アラドやゼオラを初めとした、α―ナンバーズの


10代のメンバーに連れられて、街に遊びに行った。


帝都にいたときも、厳重な警護のなか一室にいるだけで、街に出る機会のないアルマナは、


今まで背負っていた重荷をそのときだけは捨て、被っていた仮面を外して、はしゃいでいた。


綺麗な装飾品を見て回ったり、CDショップで最近地球で流行っている歌を視聴したり、


地球の料理を食べたりと、その様子は地球の少女と何ら変わりなかった。


ただ、楽しいと思う心の隙間から、アルマナが意識せず言った一言を聞いた者が何人かいた。


「これであの方もいましたら、もっと楽しいのに……」


このセリフの後には決まってため息をついた。


このセリフを聞いた者も、あの頃アルマナがクォヴレーに向けていた視線を思い出し、ため息をついたのだった。








「テラ・フォーミングが終わったら、まず最初に地球と国交を結びましょう」


彼女以外誰もいない寝室。今日の公務は早めに終わり、戻った部屋にはまだ夕日が射しこんでいた。


アルマナは考えていたことを頭で反復するより先に言葉を口から出していた。


「長く違えた道を歩んできましたけど、彼らと私たちは祖を同じとしているのだもの、


 ここでまた再び道を交わらせても、おかしくはないわ」


ここから地球までの距離も、そう遠くはないのだし……と付け足したところで、不意に心地よい睡魔が彼女を襲った。


(あの方が守ることを望んだ星……バルマーよりもあの方の故郷と言える星……


 きっと、喜んで、下さいますよね………?)


開いた窓から入り込んだそよ風が、レースのカーテンを膨らませ、アルマナの頬をくすぐる。


最後の言葉は、そよ風のなかに流れて溶けていった。














何か、夢を見ていたのかもしれない。が、思い出せない。


眠りに入ったときと同じくらい、目覚めも心地が良かった。


夕日は既にアルマナの部屋から抜け出し、代わりに青白い光が彼女の顔を射していた。


窓から見える空を見上げると、夜の色が手を伸ばして随分と経っている様だった。


夕食を取らなくては。アルマナは椅子から立ち上がったが、夕食よりもひどく惹かれるものがあった。


(こんなに明るい夜は久々……今日は満月かしら?)


地球では淡く優しい黄色の月が夜に顔を出していたが、この星では青白い月が夜の世界を照らした。


(もしかすると……あそこは今日が一番綺麗かもしれませんね)


青白い光に導かれるように、アルマナはバルコニーから外に出て、ある場所へと向かった。


満月が最も輝ける場所へ。











アルマナが住む屋敷は、国の代表者が住んでいるということからか、真っ先に整備が進められた。


そんな贅沢をするわけにはいかない、と彼女は拒んだが、工事施行者は聞かなかったらしい。


その工事施工者が、粋な計らいをしてくれた。代表者という立場上、彼女の心が安らぐことは少ない。


テラ・フォーミングに取り掛かっているときは尚更で、今の彼女は忙しいことこの上ない。


少しでも彼女の心が安らぐようにと、工事施行者は屋敷の広大な庭の一角に小さな湖を作った。


月の出る夜には空を映す鏡になり、青白い月が揺らぐその光景は神秘的である。


アルマナはこの湖を甚く気に入り、少しばかり余裕があるときにはこの湖に映る空を見下ろして、心を癒していた。


ただ、満月が湖に映る様子はまだ見たことがなかった。


上弦の月や三日月、満月が少しばかり欠けた十六夜のときが十分綺麗であったのだから、満月は最も美しく輝くに違いない。


アルマナは、跳ねるように走りながら湖へと向かった。








走り始めて3分ばかり。屋敷からやや離れた場所にある湖が見えてきた。


まだ湖には遠いが、それでも、満月が映り込んだ湖の美しさが分かった。


新円に近い満月が、湖の波に揺らぐ。周りにある星も合わせて揺れる。


今日は何が見えるのだろうか………アルマナの期待が胸を膨らませたそのときだった。





青白い光に反射する、白銀色が瞳に入り込んだのは。





静かに湖の前に佇む、大人になりかけた容姿の少年。


その姿はすぐに、アルマナの瞳に焼きついた。


そして、それは、彼女が会いたいと痛すぎるほど願い続けてきた人の姿だった。



この前の続きです。その前に。


やっと、オフラインの方でスパロボ語れる方が見つかりましたー!


このカップリングには興味ないと思うが、それでも語れる人が身近にいるのは嬉しいです♪


今まで部活の書置きノートで会話してたのですが、明日は部会があるので会えるのです。


お話出来ればいいのですが。


それでは本編をどうぞ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


バルマー星が流星雨によって壊滅して5ヶ月を過ぎたあたり。


アルマナを初めとするバルマーの民たちは、第2のバルマー星となるであろう星を見つけ出した。


その星は、比較的地球圏の近くに位置していた。


そんなに条件のいい星を、何故長距離移民船団が見逃したのか。それは地球とバルマー星に住む


者達の技術力の差にあった。


勿論、長距離移民船団は水があり、酸素があるその星を見つけていた。


しかし、恒星が近すぎる距離にあるらしく、光線を和らげる、星そのものを恒星から遠ざけるなどの措置が必要であったのだが、今まで未知なる物から身を守るだけで精一杯だった地球ではそのような類の技術は確立されておらず、その星をテラフォーミングすることは現段階では不可能だと判断された。


それが、バルマーの技術力では可能なのだという。


テラフォーミングの過程を淡々と説明するバルマーの科学者たちに地球の科学者たちはただただ驚いていた。


自分たちが磨くことが叶わなかった原石を、彼らの力でなら磨き上げ、美しく輝く宝石にすることが出来るのだ。


「彼らの科学力には驚かされたよ。


 我々が彼らに打ち勝つことが出来たのは、まさに努力と根性の賜物だな」


バルマーの説明会を聞いたとある科学者は、苦笑しながらこう言葉を口にした。








しかしながら。


水素と炭素がなければ水は出来ないように、小麦粉と卵とバターと砂糖がなければケーキが出来ないように、


いくら理論が確立されていても、材料がなければ何の話にもならないのである。


周辺の星から調達できるものもあったが、それだけではどうにもならない。


その上、フーレを初めとする戦艦に乗ったバルマーの民たちの食糧問題もあった。


いつまでもバイオテクノロジーで合成された食物だけを摂っている訳にはいかない。


材料に関する問題や、食料問題は自分たちだけではどうにもならず、


かといって放って置くわけにも出来ない問題であった。


なるべくなら、他の星の民には頼らない、そう心に念じていたアルマナだったが、こればかりはどうしようもなかった。


自分で解決できないなら他人に頼るしかない、ならば、誰に?


バルマーは今まで、他の惑星への侵略行為を度々行ってきた。


侵攻を終えた星は領地とし、そこに住む民を奴隷のように扱ってきた。


その社会では、バルマー本星に住むものだけが様々な権利を有す市民だったのである。


バルマーはあまりにも多くの敵を作ってきた。しかし味方、仲間と呼べるような者達は誰一人いない。


地球の者達を除いては。











今日も、地球の者達に世話になった。


以前までは侵攻を繰り返していたというのに、昔からの仲間のように力を貸してくれる


地球の人々に、アルマナは言い尽くせぬほどの恩義を感じていた。








※一旦切ります……



今思えば、はてなダイアリーは小説を書くのには不適かもしれません。


自動的にリンクされる機能が煩わしいと仰せの方は、書き終えたあとにhtml化しますので


そちらでお読みください。





それでは小説本編、どうぞ。


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○月○日


今日は私の17歳の誕生日でした。


今、こうしてここで日記を書いていることが信じられません。


私は、ズフィル-ドの巫女として、バルマーのためにこの身を捧げるはずだったのですから。


1年前と状況が何も変わっていなければ、その運命は変わらなかったでしょう。


ルアフ様に地球に行きたいと申し上げたのもこの日でした。


あの時は、自由が欲しかった………。バルマー星や臣民たちのことは愛しています、


それは今も変わらないことです。だけど、私は私自身も知らない間に窮屈さを感じて


いたのでしょう。今の生活も窮屈といえば窮屈なのですが、あの頃とは意味合いが違います。


私の運命が変わったのは、あの日からだったのでしょう。


あの日、陛下に申し上げて、遥かなる母星を発ち、あの方々にお会いしたから、


私の運命が変わったのでしょう。


正確には、あの方々……α-ナンバーズに会うきっかけを作ってくれた、あの方にお会いしたから。





今晩は本当に楽しいひと時を過ごしました。


ルリアやバラン、サルデスやヒラデルヒアも私が生まれたこの日を喜んでくれました。


その上、ルリアが気を利かせて、懐かしいあの方々を呼んだのです。


ゼオラやアラド、ヴィレッタさんやSRXチームの皆さん、他にも沢山の方々が来て下さった。


昔のままならば迎えることのない誕生日でしたが、私にとって最も嬉しく、思い出に残る


誕生日となりました。


ルリアもバランも、他の側近たちも、素直に喜んでくれて嬉しかった。


1年前の誕生日では、表面上は喜んでくれても、内では同情のような感情が皆にありました。


あの時は皆も、私が今日のような日を迎えることは出来ないと確信していたからでしょう。


今晩は本当に楽しいひと時を過ごしました。


これで…………あの方がいらしたら、どんなに嬉しかったでしょう。


あの人、私の誕生日を知っていないのかしら?………教えていませんものね。


私はあの人の誕生日をお祝いしてあげたのに…………


アラドやゼオラに教えてもらったからですし、α-ナンバーズでも大きなパーティを開いたからですが……。


あの時は、最初は困惑していたようですが、いつもは滅多に見せない微笑を沢山みせてくれましたわ。


もし、今日、私の誕生日に来てくださったのなら、あの笑顔を見せてくれたでしょうか………?





あの方に………クォヴレーに、会いたい。

















公務で主がいなくなった部屋。


主の忘れ物を取りに来ていた侍従は、偶然開かれていた日記を見て、深くため息をついた。


初めのうちは一時の恋だと思っていた。広大な世界を見始めた多感な少女が、


世界への導き手に心惹かれるのは当然であると思っていた。


少女の感情を、恋とは微妙に違うものだと思っていたのだ。


例えば、生まれて間もない雛が何の疑問も持たずに親鳥についていくようなもの。


縋るものが目の前にあるものしかないのならば、それに着いて行くしかない。


戦争が終わった後、あの少年が平行世界に旅立ったと知っても、大事には思っていなかった。


確かに主たる少女はあの少年を傍に置いておくことを望んでいたが、数々の困難を経て、


少女は縋るものがなくても歩いていける程強くなったし、ふと道に迷ったときに指し示す者……


それは、侍従たる自分であったり、護衛でドバン家当主であるバランであったり、他に少女を


支える者……が傍にいるから、大丈夫であると、思っていた。


しかし、あの少年がいなくなり、時間が経てば経つほど、少女の瞳に憂いの色が見え始めた。


ああ見えて気丈な少女である。現在はバルマーの臣民を背負って立っているのである。


表にはそんな素振りは欠片も見せない。どんな困難が前にあろうと、


頑張らなくてはなりませんねと、笑って言って見せた。


だけどその裏で、少女は泣いているのだ。


部屋から人払いをして、周囲に本当に人がいないかと十分な注意を惰らないで確認して、


誰もいないと分かると少女は泣き出した。


「クォヴレー、私はどうすればいいのかしら……クォヴレー、クォヴレー………


 あなたに………あなたに会いたい………………!」


幼い頃から訓練をしていたために、ある程度気配を消して近づくことは習得していた。


そして侍従という立場から、主の元へ行かねばならない用事は腐るほどあった。


困難という壁が立ちはだかったとき、主の部屋からはいつも、すすり泣く声が聞こえてきた。


それは、バルマーの指導者である姫君ではなく、少女としての、ありのままのアルマナの姿であった。





「どうにかして、あの者が帰ってこないだろうか」


涙で滲んだ日記を見て、ルリアは呟くように問うた。


その答えは分かっていた。


彼は平行世界の番人なのだ。その務めが終わらない限り……すべての平行世界が平和にならない限り、


帰ってくることはないだろう。


そして全ての世界が平和になるためには、途方もない時間がかかることは間違いない。


――――そんなことは分かっている、だけれど……


ルリアは、アルマナのことを思い、もう一度ため息をついた。





 


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