スパロボの小説は長くなってしょうがなかったのですが、
今回はこれで終わりそうです。ほっ。
ではでは、続きをどうぞ。
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勿論、その声の主はリオンが今思っていた人物であり、守るべき対象である人のものである。
「お、王子……なんでも……何でもありません!」
声は震えているし、逆光のせいで少しは分かりにくいかとは思うが、涙目だ。
何でもないなんてそんなの嘘であること、誰にだって分かることだ。
しかし、何も言葉を返さないよりはマシだと思い、リオンは声を張り上げた。
「本当に?大丈夫?」
明らかに様子が違うリオンに、ファルーシュは一歩、また一歩歩いて距離を縮める。
涙で潤んだ深い色の眼を覗き込むと、小さな子供をあやす様に、にっこりと笑いかけた。
「とりあえず、座ろうか、立ったままじゃ疲れるよね?」
「あ、はい……」
促されるがままにその場に座り込む。
思い切って水面へ足を投げ出した。足首まで触れているフェイタス河の水が心地良い。
「前にも、ここで話したね……今日みたいな夕陽の日でさ、
まだ、そんなに経っていないはずなのに、懐かしいな……」
「……そうですね」
その言葉には素直に同意した。
あの日から今まで、一言では表しつくせないほど様々な出来事が起きた。
ファルーシュにとって、そしてリオンにとっても、辛い出来事が、沢山―――
「今はこうやって、リオンやリム、ミアキスたちと笑いながら過ごせるけど……
あの頃は、厳しくて、悲しい出来事ばかりだった。
それを何とか乗り越えるために、無理やり笑ったりしてね……
リオン、君が倒れたときなんか、大変だったんだよ」
「っ、……………」
「笑って雰囲気を明るくしようとする人なんて誰もいなかった。
城全体が深刻な空気に包まれていたんだ」
ドルフの凶刃に倒れて、昏倒していた間のことをリオンは知らない。
私1人のために、そんなことになっていたなんて、と、うつむく様に頭を垂れた。
「僕のために刃を受けてくれたことは分かっている。
だけど、僕はもう……リオンが傷つくのを見たくないんだ」
この後に待っている言葉が、分かる気がする。嫌な予感がした。
「だから、」
「やめてくださいっ!!」
「リオン」
「い、言わないで下さい、お願いですから、言わないで……くださ…っ」
「リオン、君を、僕の護衛から解任するよ」
死刑宣告。リオンの身体に走った衝撃はそれ以上かもしれない。
我慢して堪えていた涙も溢れ出し、嗚咽も止まらない。
存在理由が、なくなってしまった、守るべき人の手によって……
「泣かないで、最後まで聞いて、リオン。
自意識過剰かもしれないけれど、僕は自分の身は自分で守れるようになった。
もっと強くなれば、君も…………」
「………?」
「護衛から外したからって、君が必要ないということじゃない。
いや、僕には君が必要だ。あの戦いだって、君がいたから最後まで自分の意思を貫き通せたんだ」
「……おうじ」
「リオン、君に新しい任務を与えるよ。
――これからずっと、僕の後ろではなく、隣に立って、僕を助けてくれないか?」
任務、と言いつつ、それはリオンに願いを請うような問いかけであった。
いつも目の前で見てきた背中は、いつの間にか大きくなっていた。
一番近くで見てきたからこそ、その成長に気が付かなかったのかもしれない。
「喜んで、お受けします」
ファルーシュは、またにっこりと笑って、リオンの白い手を取った。
(終)
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うわー、これまた微妙な作品に……
次はスパロボ、書きかけだったクォヴレー×アルマナの”紅茶話(仮)”の続きを書く予定です。
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