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ブログを移転して心機一転。 二次創作の小説の公開や色んな感想を気の向くままに書いています。
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はてなでは1つの記事にカテゴリがいくらでも付けられたのだけど、
ここでは1つしか付けられないのですね。それが残念と言えば残念。それだけ。
それ以外は高性能で使いやすくていいブログなんだけどな。

ブログを設置した本来の使い方をしようと思います。
久しぶりに小説を。今度賞に投稿する予定なのですが、その息抜きに軽い小説を。
構成とかあんまり考えたくないのでベタベタな話で。

クォヴレー×アルマナで、未来のお話。一緒になった後のお話。


まだ終わってない話がいくつかあるけど、今は気にしなーい。

書いてみたらクォヴレーが似非だ!大変だ!それでもバッチコーイ!な方は
下のリンクからドゾー!
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先に。


クォヴレー、アニメデビューおめでとうございます~。


私もOG1話を視聴次第、感想を書き連ねていく予定です。


ただし、放送すらされない地方なので、youtubeなどでアップロードされるのを待つしかないですが。





最近小説の書き方自体忘れている気がする!


この前の部活の原稿も難航したもの。これじゃダメだ。


どんなことになっても、”書く”ことだけは忘れたくはないなあ。


久しぶりの小説です。アラゼオに初挑戦してみます。


今までの小説でも、ちらりほらりとそんな要素を入れてはいましたが、


この2人を中心に書くのは初めてです。


カテゴリが第3次αになっているのは、時間軸が第3次αのつもりで書くから。


だけどあまり関係ない、どっちでもいいかもしれない。


気を抜いて書くので、いつもより適当な文体になっているかも。


そしていつものように捏造設定あり。


ではどうぞ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


αナンバーズの食堂のメニューは、軍隊にしては珍しく種類が多い。


何百、何千の人が住まい、働き、生活を営むこの一個の集団で、食の好みがぴったりと一致するわけがない。


各人の好みに合うように、和洋折衷、何種類もの料理を毎日提供している。


その中から好きな料理を何品か選んで食べるという方式になっている。


通常、軍隊であれば食事のメニューはローテーションで決まっていて、その量も決まっているのだが、


彼らの中には正規の軍人ではない者たちも少なからず含まれている。


そして何より、彼らは地球の、そして銀河の命運を背負う戦士たちである。


普段厳しい戦いを強いているのだから、食事くらいは好きなものを食べてもらいたい。


食堂で働く人たちの厚意によって、緊急時以外は好きなだけ食べられるようになっていた。


更に、生活リズムは個人によって全く異なるから、どんな時間でも食堂は開いていた。


”いつでも好きなときに好きなだけ食べられる”


このことを何よりも嬉しく思う少年は、その日の夕飯、周りから首を傾げられるような料理の選択をした。


変な目で見られているとは全く気づかない少年は、そのまま席に着き、


こちらまで笑みを浮かべてしまいそうな、それはそれは嬉しそうな、どこから見ても見紛う事なき満面の笑みで


「いただきます」の言葉を口にした。


普通ではあまり考えられない料理の選択に、左の横前髪だけ三つ編みにした少女は思わず眉を顰め、


あまり事情が分かっていないらしい銀髪の少年は2人の様子がまるで違うことに疑問を持ったが、とりあえず席に着いた。


「……アラド、あなた、どうしてその組み合わせなの?」


「何だよゼオラ、お前だって今日はビーフシチューがいいって言っただろ」


「ええ、それは言ったわよ。今日みたいな寒い日はシチューでも食べたいって。


 だけど、どうして……白いご飯が置いてあるの?」


タマネギ、ニンジン、ブイヨン、トマト、そして牛肉がじっくり煮込まれた、深い茶色のシチューの隣りに、


山盛りに盛られた真っ白いご飯が輝いていた。


「シチューに白米の組み合わせはおかしいのか?」


「おかしいわよ!組み合わせるならパンか何かでしょ!?」


そうか、おかしいのか、なるほど……。


自らのトレイの上のビーフシチューを眺めながら、ぶつぶつと呟くクォヴレーは放っておいて、


ゼオラは再びアラドに話しかけようとして、絶句した。


アラドが、カレーよろしく、ビーフシチューの一部をご飯の上にかけている。


「―――っ!


 アラド、あなた、何てことしてるのよ!」


「え?こうして食べると意外と美味いんだぜ」


「ぎょ、行儀が悪いわよ!」


シチューにはパン、という固定観念があるわけではなかろうが、ゼオラにとって


シチューに白米という組み合わせはありえないものだったらしい。


どうにかしてやめさせようと考えるが、ビーフシチューがけご飯を口にするアラドはとても幸せそうで、


それを見るのが幸せなゼオラには、彼からシチューとご飯、2つの皿を取り上げることなんて出来なかった。


アラドからお皿を取り上げることなんて出来ない、でも行儀悪いのを直したい。


せめぎ合う2つの思考は平衡状態で、どうしようも出来ず、ゼオラは食事をするアラドをじっと見つめる。


それを”実は食べてみたいんじゃないか”と楽天的な考え方で解釈したアラドは、


ビーフシチューがけご飯を一口分、使っていたスプーンで掬って、ゼオラの前に差し出した。


「やっぱり食べたいんじゃないかよ、ほら」


「ち、違うわよ、私はね……」


「我慢すんなって、ほら」


ずいっと差し出されたスプーンを、しょうがないわね、と口にする。


野菜が溶け出し、ブイヨンと合わさった旨み、シチューの中のトマトの僅かな酸味が、意外にも白米の控えめな美味しさと合っていた。


そして何より、これはゼオラ自身、スプーンを口にしてから気づいたのだが……


(……!)


アラドが使っていたスプーンで、食べた。


その事実が、ゼオラの顔を一瞬で紅潮させた。


「どうしたゼオラ、顔が赤いぞ、熱でもあるのか」


「そっか、トマトみたいに真っ赤になるくらい美味かったか~」


「アラドの、馬鹿ぁぁぁああ!!」


デリカシーも何もないアラドの言葉に、ゼオラの絶叫はこだまし、踵落しが炸裂した。


(終)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


シチューをご飯にかけて食べると美味しいんだよって話。


いや、ホントに美味しいです。小学生のとき良くやりました。



久しぶりの幻水小説。


この前書いたものが、嬉しい終わり方ではなく、書いてる当人としても


すっきりする終わり方じゃないなと思ったので、リベンジ。


だらだら書かずに分かりやすく、短く書くのが最近の目標です。


※言うまでもなく王子×リオンです


王子の名前はファルーシュ。女王騎士エンド後の話です。


※気持ちこの前の続き。


リオンが王子を名前で呼ぼうと頑張っているのは、そのこともありますが、


もう”王子”じゃないからです。


――――――――――――――――――――


沈み込みそうなほど柔らかく、肌への触れ心地がひどくいいベットや、


羽毛を中に敷き詰めた、重量のわりに暖かで、冷えた空気から自らの身体を守ってくれる掛け布団。


太陽がじわじわと褐色に肌を焼き付け、水分を含んだ生暖かな風が精気ややる気などの色んな気を奪い去っていく


この季節には不必要なもので、王兄殿下の部屋からそういった、夜の防寒のための寝具は片付けられていた。


その代わり、身体が沈みはしない程度の硬さのベットや、薄めの毛布が何枚か用意されていた。


冬や春先に手放せない、どこまでも暖かく身を包んでくれる寝具は、衣擦れの音がよくする。


彼のかつての護衛、大切な人はその音を遠く離れたドアを隔てて聞き、彼が目覚めたことを知るのだ。


彼女はいつでも、彼が目覚めて、意識がはっきりしてくる10分ほど後に、「失礼します」と部屋の戸を開け、


挨拶をし、今日の予定などを述べ、確認する。


以前は長く伸ばした髪を細かく、バランスが良い、綺麗な三つ編みに編んでくれたのだけど、


その髪の襟足より下を切ってから、その習慣はなくなってしまった。


あの空気が好きだったのに。


自分の後ろに立ち、髪を結う彼女の手が、僅かに首に触れる、あの瞬間がとても好きだったのに、と多少惜しいとは思ったが、


髪を切ったのはこの国を守っていくという決意の証、後悔はしていない。


衣擦れの音は、彼女にとって、自分の起床の合図。


……多分、気の動きなどの、武術の鍛錬を積みに積んだものだけが分かる、特別な感覚も手伝っているのだろうが、


この音が手がかりになっているのは間違いない。


この音を抑えることが出来れば、彼女に内緒で出かけることが出来る。


彼女が護衛についてから、もう随分経ち、彼女が隣りにいなければ、落ち着かない。


彼にとっても、彼女にとっても、お互いが隣りにいることは、最早当たり前のことであり、


そのことを考えれば、彼女に内緒で出かけるなど、考えられることではないのだが、


これは彼女に秘密しなければ出来ないことであり、何より彼女の驚く顔が見たかった。


だから、ベットから出るときも、寝間着から着替えるときも、出来る限り音を立てないように細心の注意を払い、


歩くときも自分の部屋だというのに、盗みに入った泥棒のようにそろり、そろりと足を浮かせるように歩いた。


リオンには及ばないが、本格的な武術の訓練は受け、女王騎士長の職についているのだから、


ある程度気配を消して移動することも出来た。まさかそれをこんな場面で使うことになるとは思わなかったけど。


それくらい、ファルーシュは本気だった。


「おう…じゃなかった、ファルーシュ様、起きていらっしゃるんですか?」


部屋の中の空気がいつもと違うことに、リオンも気づいたようだ。


自分自身で計画を練って、ここまで来たのだから、彼女に気づかれても決行するしかない。


「ごめん、リオン!」


起きているのかと尋ねたのに、何故か謝罪の声が戸の向こうから聞こえてくる。


そして、今まで張り詰めたように動かなかった空気が、急に動き出した。


これは何事だ。


「?! お、王子?!」


ようやく事態に気づいたリオンが、扉を開けると、


扉からまっすぐ走ったところにある窓に、いつの間にか括りつけたロープを掴んで、


外へ出ようとしているファルーシュの顔が見えた。


もう身体は窓の外、「ごめんねー」と手を振りながら、ファルーシュは器用にロープを伝い、


城の外へと出て行った。


「お、王子ーーーーーー!!」


もう王子ではないファルーシュのことを、慣れないせいか王子と呼びながら、リオンは朝の太陽宮の中、


太陽宮どころか、城下町の人まで起きるのではないかという声量で叫んだ。

















つづく。



はてなダイアリーに書き込むこと自体1カ月以上ブランクがありまして、


記法を忘れかけていますが、それでもネタがちょっと降って来たのでこれは書くしかないだろう、と。


今回こそショートショートに書けるといい、な。


それでいい加減秋舞月をhtml化してサイトに収納しようと思います。


そしてテスト前に限ってネタが振ってくるのは何故でしょうか。


それでは本編どうぞ。設定は割と捏造が多いかもしれませぬ。





―――――――――――――――――――――――――――


「まあ……綺麗ですね」


「食べられるんですよ、これ」


「ええっ?!」


エメラルドのように煌めく大きな瞳を丸くして、心底驚いた、


という表情を見せたアルマナに、ゼオラ自身も驚かざるを得なかった。


確かに、レーツェルが作るケーキは見た目も味も超一級品、芸術と言い切れる代物で、


甘いものに興味津々な年頃の女の子が心惹かれないはずがない。現に、ゼオラ自身も、出撃した後と言うこともあり、


張り詰めた心を癒すご褒美として、この時を心待ちにしていたのだ。


だから、今日はアラドに何か言われても、踵落しなどで黙らせて、至福のひと時に浸ろうと思っていた。


アルマナ姫を誘ったのは、同じ年頃の女の子として、そしてお互い同じような悩みを持つ者として、


甘いものを食べつつ語らえたらいいなと思ったからだった。


しかし、テクノロジーでは地球より数十歩上を行くバルマーは、文化的には地球より数歩遅れて足取りを辿っており、


娯楽というものが存在しない。


遊ぶ時間は要らないし、食べ物も普段は生命維持に必要な最低限のモノだけ食べていればそれでいい。


何事に於いても、美しい外観よりも、機能性を重視するのが”バルマー流”であるらしい。


そんな環境で16年間生きてきた、バルマーの姫巫女様には、宝石のように美しく彩られた苺のタルトを


食べ物として認識するのは初見では不可能であったらしい。


「本当に、食べられるんですか?」


「ふふ、それじゃあ紅茶も淹れて一緒に食べましょう」


それにしても綺麗、本当に食べられるのかしら、とちょこまか動きながら


目まぐるしく仕草を変えるアルマナ姫は、女であるゼオラの目から見ても可愛らしくて、


こんな子に想われているクォヴレーは果報者ね、と目を細めた。


一口、口に含むと、甘酸っぱい豊かな苺の味と香りが口の中いっぱいに広がる。


そこに甘さを控えめに仕上げたカスタードクリームが加わると、クリームと苺のソースが絶妙に絡み合い、


苺の香りとカスタードクリームの上品な甘さが合わさりあう。


どちらもアルマナにとっては初めての経験であり、彼女はうっとりとした表情でつぶやいた。


「おいしい……」


そこから、この幸せな時間を引き延ばすように、少しずつ少しずつ、大切にケーキを食べ進めるアルマナと、


可愛いなあ、私ももう少し可愛くなれないかなと見つめるゼオラの元に、


機体の整備が終わったクォヴレーとアラドがやってきた。


「あーっ、ずるいぞゼオラ、先に美味そうなもの食いやがって!」


「まだあるわよ、それに、アンタは質よりも量の方を取るでしょ!」


違う、俺は質も量も取るんだ、性質悪いわよ、少しは控えなさい、と、アラドとゼオラはいつも通りの痴話喧嘩を始める。


そんな2人を見守りつつ、アルマナは熱く火照っていく頬に、止まりなさいと念じつつ、それでも何とかクォヴレーの顔を見上げて、


緊張のあまり数秒間黙りこくったあと、声をやや震わせながら笑い、彼に話しかけた。


「クォヴレーも、ケーキ、いかがですか……?」


こういう時、どう言い返せばいいのか。


一緒に食べるという選択をすればいいものを、この時クォヴレーは、数日前に同じ食堂で繰り広げられていた光景を思い出していた。


「アルマナ……」


「はい……」


「……あまり甘いものばかり食べていると、太るぞ」








ごすっ





「く、く、クォヴレーの、馬鹿っ!」


言葉と同時に放たれた右ストレートは、クォヴレーの鳩尾を適確に突いた。


怒りのこもった女性の怒りの一撃に、流石のクォヴレーも苦悶の表情を浮かべる。


百舌と隼の痴話喧嘩が中断されたのも、そのときだった。



スパロボの小説は長くなってしょうがなかったのですが、


今回はこれで終わりそうです。ほっ。


ではでは、続きをどうぞ。





――――――――――――――――――


勿論、その声の主はリオンが今思っていた人物であり、守るべき対象である人のものである。


「お、王子……なんでも……何でもありません!」


声は震えているし、逆光のせいで少しは分かりにくいかとは思うが、涙目だ。


何でもないなんてそんなの嘘であること、誰にだって分かることだ。


しかし、何も言葉を返さないよりはマシだと思い、リオンは声を張り上げた。


「本当に?大丈夫?」


明らかに様子が違うリオンに、ファルーシュは一歩、また一歩歩いて距離を縮める。


涙で潤んだ深い色の眼を覗き込むと、小さな子供をあやす様に、にっこりと笑いかけた。


「とりあえず、座ろうか、立ったままじゃ疲れるよね?」


「あ、はい……」


促されるがままにその場に座り込む。


思い切って水面へ足を投げ出した。足首まで触れているフェイタス河の水が心地良い。


「前にも、ここで話したね……今日みたいな夕陽の日でさ、


 まだ、そんなに経っていないはずなのに、懐かしいな……」


「……そうですね」


その言葉には素直に同意した。


あの日から今まで、一言では表しつくせないほど様々な出来事が起きた。


ファルーシュにとって、そしてリオンにとっても、辛い出来事が、沢山―――


「今はこうやって、リオンやリム、ミアキスたちと笑いながら過ごせるけど……


 あの頃は、厳しくて、悲しい出来事ばかりだった。


 それを何とか乗り越えるために、無理やり笑ったりしてね……


 リオン、君が倒れたときなんか、大変だったんだよ」


「っ、……………」


「笑って雰囲気を明るくしようとする人なんて誰もいなかった。


 城全体が深刻な空気に包まれていたんだ」


ドルフの凶刃に倒れて、昏倒していた間のことをリオンは知らない。


私1人のために、そんなことになっていたなんて、と、うつむく様に頭を垂れた。


「僕のために刃を受けてくれたことは分かっている。


 だけど、僕はもう……リオンが傷つくのを見たくないんだ」


この後に待っている言葉が、分かる気がする。嫌な予感がした。


「だから、」


「やめてくださいっ!!」


「リオン」


「い、言わないで下さい、お願いですから、言わないで……くださ…っ」


「リオン、君を、僕の護衛から解任するよ」





死刑宣告。リオンの身体に走った衝撃はそれ以上かもしれない。


我慢して堪えていた涙も溢れ出し、嗚咽も止まらない。


存在理由が、なくなってしまった、守るべき人の手によって……


「泣かないで、最後まで聞いて、リオン。


 自意識過剰かもしれないけれど、僕は自分の身は自分で守れるようになった。


 もっと強くなれば、君も…………」


「………?」


「護衛から外したからって、君が必要ないということじゃない。


 いや、僕には君が必要だ。あの戦いだって、君がいたから最後まで自分の意思を貫き通せたんだ」


「……おうじ」


「リオン、君に新しい任務を与えるよ。


 ――これからずっと、僕の後ろではなく、隣に立って、僕を助けてくれないか?」


任務、と言いつつ、それはリオンに願いを請うような問いかけであった。








いつも目の前で見てきた背中は、いつの間にか大きくなっていた。


一番近くで見てきたからこそ、その成長に気が付かなかったのかもしれない。


「喜んで、お受けします」


ファルーシュは、またにっこりと笑って、リオンの白い手を取った。





(終)


―――――――――――――――


うわー、これまた微妙な作品に……





次はスパロボ、書きかけだったクォヴレー×アルマナの”紅茶話(仮)”の続きを書く予定です。



前まで記事タイトルに対象カップルを書いていましたが、


yahooなどの検索エンジンが拾ってくれてしょうがないので、今回は書かないことに。


王道中の王道なので、逆にひっそり参ります。


※言うまでもなく王子×リオンです


 王子の名前はファルーシュ、他の項目はロンド・ベル……げふん!


 今回は関係ないので省略。


※書き忘れてましたが、女王騎士エンド後の話です。


――――――――――――――――――――


幼い頃から共にいた。


幼い頃から、かの人の後ろに付き従った。


長く伸びて、結われた銀色の髪、ムラなく染め上げられた橙の衣がそこから見える風景の全て。


心から慕っているけれど、守られているから後ろにいるのではない。その逆だ。


私は、この人を守るために、いついかなる時でもこの人の傍にいて、お守り出来るように、


そのために後ろにいるのだ。


あなたを守ること、それが私の全てである。


後ろ姿を一番近くで見ることが出来るこの場所が、私の存在理由。








そう、ずっと思ってきたんだけど――――














太陽宮の一角から、何かが激しくぶつかり合う音が聞こえてくる。


カァン、キンッ、と乾いた甲高い音が絶え間なく響き渡る。


麗しい紅い装飾がなされた三節棍が、節目で折れ曲がり、振り回した勢いを乗せて銀に鈍く光る長巻を持つ少女の鳩尾へ向かう。


しかし、鳩尾に落ちる寸前で、少女は長巻の身で棍を受け止め、そのまま反撃に移る。


距離のある位置から鳩尾を狙ったせいで、三節棍を操る少年の右腕は伸び切っていた。


右脇腹がガラ空きである。


そこを見逃すはずもなく、少女は脇腹を突こうとそのまま直進した。


あと数寸。


少女の意識は、そこで暗転した。





「ごめん、リオン、少しやりすぎたみたいだね」


まず目に入ったのは、申し訳なさそうに笑顔を浮かべる少年だった。


ファルーシュ・ファレナス。


ファレナ女王国の王子であり、数ヶ月前の戦争での英雄、そして臨時女王騎士長。


リオンと呼ばれた少女の主であり、守るべき存在である。


「あれ……わたし」


「思ったよりも強く後ろの首を打ったみたいで、リオンそのまま倒れちゃったんだよ、


 本当にごめん」


「い、いえ……大丈夫です、ご迷惑をお掛けしたようですね、申し訳御座いません」


「リオンが謝ることじゃないよ」


いえ、私がご迷惑をお掛けしたのが……


いやいや、僕が……


そんなやり取りが十数回続いた後。


「それにしても、王子……お強くなられましたね」


リオンのこの言葉が、ようやく話題を切り替えた。


「そ、そうかな?」


数ヶ月前の争いで、数多の戦いを駆け抜けて来たのだから、


それまで多少の武術の心得はあったものの、のうのうと王宮で暮らしてきたファルーシュにとって


それはどんなものよりも勝る鍛錬で、彼自身、力をつけた実感はあった。


リオンからの問いを疑問系で返したのは、”敵”と呼べるもの達との戦い、即ち実戦から遠ざかっていることと、


幼い頃――それこそ、親から引き剥がされた時から、鍛錬を続けてきたリオンには


まだ叶わないと本当に思っているからだ。


「そうですよ、以前手合わせ願ったときは、いつも勝たせて頂いていましたけど、


 今は王子が勝つことの方が多くありませんか?」


「言いすぎ。まだそこまではいってないよ。良くて五分五分ってところじゃない?」


「五分五分……ですか」


「――仮にも女王騎士長たるものが、女王騎士に負けてばかりもいられないけどね」


ふふふ、と笑って、リオンはファルーシュの言葉に同意はしたが、


その笑顔の中にはもの悲しげな表情も含まれていた。











天高く昇っていた太陽が、燃えながらフェイタス河に沈む。


夕緋色の陽光、陽光を反射してきらめく水面、太陽の光と水面の光双方から、リオンの顔が照らし出される。


この広大な水鏡に今映っている自分自身は、今どんな顔をしているのだろうか。


そんなことを思い、リオンは本日何度目かのため息をついた。


(何があってもお守りします……か)


数ヶ月前、この場所で同じ夕陽を見ていた時に、どこからともなく湧き上がった言葉。


訳の分からぬ場所から拾ってきたものではない。本心であった。


今のその気持ちは変わりない。だけど。


あの人の背中は、いつの間にあんなに大きくなってしまったのだろう。


面積の一部を占めていた銀髪が切り揃えられたからではない。


以前なら、フェリド様に抱きかかえられては、折れそうなほど細く見えたのに。


王位継承権はないけれど、大きな器を持つ人、でもどこか頼りなさそうに見えて。


だから、お守りしようと思っていたのに。


(王子は本当にお強くなった、武術だけじゃない、心も、ずっと……)


もう、私がお守りする意味なんて、ないのではないか。


自然とその言葉が導き出されて、泣き出してしまいたい衝動に駆られた。


「リオン、どうしたの?」











――――――――――――――――――――


今日はタイムアップ……


そしていい表現が見つからない……






さあいい加減終わりにしましょう。


もうとっくに秋は過ぎ去ってしまいました。たしかこの小説書き始めたのは先々月。


構想は練っているけど実行に移さない悪い例ですね。みなさん真似しないようにしましょう。


それでは本編どうぞ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「クレープ…………?」


何となく、語尾を上げてアルマナが口にした単語を繰り返した。


クレープについては知っている。小麦粉と卵と牛乳、それに砂糖を加えたほんのり甘い生地の上に


生クリームや苺やバナナなどの甘い果実をトッピングし、生地を折り畳んで食べる菓子。


多少の違いはあれど、どの平行世界でも共通している食べ物であり、女性や子供が好んで食べるもの。


人通りの多い街角に、調理機械を乗せた小さめのワゴンが止まったならば、10分もしないうちに行列ができる。


甘いものは嫌いではないが好きではないクォヴレーが、興味を抱いて行列の最後尾に並んだ時は、甘くないクレープを勧められた。


ミートクレープという、牛ひき肉と玉ねぎ、マッシュルームが生地に巻かれてある変り種のクレープだ。


店の主は、男性だから甘いものが苦手だろうという憶測から勧めたのであろう。小腹が空いていた彼には大して腹に溜まりそうにない甘いクレープよりも、ひき肉が詰ったこのクレープの方が都合が良かった。





クレープを食べながら歩く人々は皆、幸せそうに笑っていた。





「駄目………ですか?」


頭1つ分大きなクォヴレーの目を、懇願する上目遣いでアルマナは見つめた。


平行世界での出来事を頭の中に映し出してたクォヴレーは、珍しくアルマナへの返事を遅らせてしまった。


普段はすぐに返ってくる返事が返って来ないのを、躊躇いと取ったのか、アルマナは少しだけ落ち込んだ顔をしていた。


「いや……そんなことはない。


 アルマナ、相変わらず甘いものが好きなんだな」


「…え、ええ!?そうですか!?」


不意に弱点を突かれたような気がして、アルマナは慌てふためく。


ただ甘いものが好きだと言い当てただけなのに、過ぎるほど慌てるアルマナが可愛らしくておかしくて、


クォヴレーは、くっくっ、と出来るだけ声を抑えながら笑った。


「オレがαナンバーズにいて、お前も艦に滞在していた頃、コーヒーを飲もうとして諦めてただろう?」





まだこの世界での戦いが続いていた頃。


バルマー星が流星雨によって崩壊し、バルマーの民は一時的にαナンバーズと行動をともにしていた時期があった。


クォヴレーがアルマナを人質に取ったり、アルマナが命を狙われたためにαナンバーズの艦に密航したりなど、


様々な事件を経て、アルマナは、運命という枷をはめられつつもそれに抗うクォヴレーに心惹かれていた。


恋をし始めた頃というのは、相手との親近感を感じたい、とか、相手との共通点を見つけたい、などと思うものであり、


この時、これが恋という感情なのか分かっていなかった世間知らずの姫様でもそれは例外ではない。


食堂の機械でインスタントコーヒーを頼んだクォヴレーに、「私にも同じものをお願いします」と言ってしまったのが事の始まりである。


地球ではポピュラーである飲み物でも、バルマーの人間であるアルマナにとっては未知の飲み物で


あったが、


深い黒に近い茶色の液体から発せられる匂いはとてもいい香ばしい良い匂いがし、クォヴレーはそれを飲んでほっと一息ついていたので、これは美味しい飲み物なのだと彼女は認識した。


どんな味がするのだろうと、期待しながら口をつけたアルマナの表情が一変するのは数秒後。


辛そうな顔をしているアルマナにクォヴレーは大丈夫か、と声を掛けたが、大丈夫です、の一点張り。


顔色の冴えないアルマナを見て、ルリアが怒鳴り込んできたのは10分後のことであった。


その後、アルマナはゼオラに勧められたケーキという菓子で口直しをしたのだが、こちらは大変気に入ったらしく、新しいバルマーの街には是非ケーキ屋を作りたいと話している。





「だって……あれから皆さんに地球の街並を案内して頂いたときに、甘くて美味しいものを


 いくつも紹介して頂いたんですもの……どれも美味しいものばかりでした。


 だけど、クレープはまだ食べたことがなくて……」


「分かった、別に悪いと言っている訳じゃない。


 あそこにワゴンが来ているから、そこで好きなクレープを選ぶといい」


クォヴレーが指差す先には白いワゴンが停まっている。


えんじ色のイタリック体で描かれているロゴは、確か有名なクレープの店のものだったはずだ。


「ありがとう」


一言だが、十分に感謝の気持ちが込められた言葉とともに、アルマナがクォヴレーに笑いかけた。


行きましょうクォヴレーと、彼の腕を組んでアルマナがワゴンへと歩き始める。


腕を組まれたクォヴレーは、しばらくアルマナの顔を正視することが出来なかった。


























辛い時間はなかなか過ぎないのに、楽しい時間は瞬く暇もなく過ぎ去ってしまう。


日はとっぷりと暮れ、夜の藍色が空全体を覆っている。けれど今日はそれほど暗い夜ではない。


大きな満月が空高く昇り、柔らかな光で地上を照らしている。


クォヴレーとアルマナは今日、待ち合わせをした公園に戻っていた。





アルマナの手には、大きい箱や平たい箱、小さいが細やかで美しい装飾がなされている箱が抱えられている。


「こんなによかったのですか……?あなたはこれから平行世界を回らなくてはいけないのに……」


「気にするな、これも埋め合わせの1つだ。それに、これから平行世界を回るからこそ、だ。


 ………この滞在が終われば、またしばらく会えなくなるからな」


またしばらく会えなくなる。


想いは通じているのに、会いたいときに会えない、この事実は受け入れなければならないものだ。


クォヴレーは平行世界を守るために、アルマナはバルマーを支えるために。


いつか、何もかもが終わって、一緒になれる日が来る――――その日が来ることを願いながら、また会えない日々がやってくる。


分かってはいるけど、別れは辛い。また会えると分かっていても。


しばし、沈黙が続いたが、これを破ったのはアルマナだった。


「まだ、今日のお礼、していませんでしたね」


「礼はいい、気にするなと言っただろう」


「いえ、私がしたいんです、させてください」


「………分かった」


座っていたベンチから立ち上がり、15歩ほど前に進む。


「私、巫女であった頃は舞を踊っていたのです。


 あなたの使命も、私の使命も、一日でも早く果たすことが出来るように願って踊ります」


ひらり、ふわり、くるり、ひらり。


地球の満月に照らされながら、アルマナが舞い踊る。


巫女の服ではなく、地球の少女が着るものを着て踊っているのに、


また、ここは舞台などではなく、ただの公園に過ぎないのに、彼女の舞いは十分映えている。


何事にも、その道に長けた名手である場合、時と場合は選ばないという。


巫女は舞を踊り願いをこめるものと聞いていたが、それはバルマーのズフィルードの巫女でも同じなのだろう。


そして、それゆえアルマナは舞いの名手になったのだろう。


あまり芸術等の分野に詳しくないクォヴレーでも、アルマナの舞いからそれを知ることが出来た。





願い、望み、嬉しさ、使命、別れ、哀しみ、そして再会。


アルマナの踊りから、堪えきれずに溢れ出した感情が伝わってくる。


短い時間でも再会できることの喜び、果たさねばならぬ使命、ひと時でも離れなければいけない哀しみ。





(まるで、月のようだ)





月は満ち、そして欠け、それを繰り返す。


現在の自身と彼女の状況は、月の満ち欠けに似ている。


喜びに満ちたと思えば欠けていく。哀しみや辛みがなくなったと思えば満ちていく。





けれど、自分たちはそれを繰り返すだけの不安定な存在ではない。





今はまだ、だけどいつか。


望んだ未来が来ることを祈って、クォヴレーが空に浮かぶ満月を見上げた。





(終)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





短くするが目標だったのに、前より長くなりました。


いちゃいちゃ目指したのに、シリアスになりました。


目標が達成できません。めそめそ。



だらだら書きつづけています。


この連休中には完結に漕ぎ着けたいです。





それでは本編どうぞ~。


――――――――――――――――――――――――――――――


煉瓦色を基調とした秋の街の風景は、文字通り2人の歩く道の”背景”となっていた。


2人の間に流れる空気が、街と良く調和していた。それだけならば他の恋人たちと同じである。


賑やかさと穏やかさを同居させているこの街は、目立ち過ぎず地味過ぎないその色合いも手伝ってか、


クォヴレーとアルマナを完全に街の中に埋もれさせず、むしろ2人を丁度いい具合に引き立てていた。


対称色の関係と言えば分かりやすいだろうか。


白いキャンパスの上に赤い絵の具を置いても、赤い色は白の中で孤立する。


緑の絵の具を置いてみてもそれは同じことである。


だが、緑の森の中に赤い屋根の家があればどうだろう。屋根の赤い色は森の中で映え、一層鮮やかさを増し、


森の、長い年月を過ごした証拠である緑は一段と深くなる。


相手の魅力を殺すことなく、逆に何倍にも増幅させる関係。


今のクォヴレーとアルマナは、街の風景に馴染んではいたが、周りを歩く人々の中に溶けて消えてしまいはせず、


2人とも整った顔立ちも相まって、人々の視線を集めていた。


とはいっても、例えばアイドルが突然やって来て騒ぎが始まるような、調和も何もない視線の集め方ではなく、


一見、何も変わったところはないように見えるが、ふっと気が付くと、2人を目で追っている………


いつの間にか目が奪われてしまう、そんな視線の集め方をしていた。


それも、2人ともとてもに楽しそうに、街をただ練り歩いているだけのこの時間さえいとおしんで、


見ている方まで微笑んでしまうような笑顔で並木道を行くのだから、見守りたくもなる。








アルマナは、地球の街はおろか、自分の生まれ育った国の街でさえ、指折りで数えられるほどしかその足で歩いたことがない。


霊帝がいた頃のバルマーでは、ズフィルードの巫女として籠の鳥も同然の生活をしていたので、仕方ない。


現在も外交で地球に来ては、何とか時間を見つけ出しては、様々な街や場所に赴くのだが、


何せ他の星から来ている指導者なのである、十分な時間は取れるわけもない。


そしてアルマナは、指導者とは言ってもまだまだ遊びたい盛りの少女である。


長く、巫女として短くして終わる人生を受け入れ、様々な夢を抑えてきた。


普通の人から見れば他愛のないことのように思える夢を。


一度、抑制してきたものを開放すると、歯止めが利かなくなるものだ。


前の大戦が終わり、戦後処理のために地球に滞在していた時、アルマナは機会があって、ゼオラたちとともに街に繰り出すことになった。


その街で体験したものの楽しいこと。艦に戻る頃には、今まで味わったことのなかった楽しさに、アルマナの心はすっかり占領されていた。


それ以来、アルマナはバルマーの指導者としてしっかりと大役も果たすけれども、事あるごとに出かけるようにもなっていた。


今日はバルマーの代表者としての立場ではなく、私人として、それも想いを寄せ合う者とともに出かけるのだから、彼女がこの日を首を長くして待ち望んでいたのは想像に難くない。


彼女が想いを寄せる相手、クォヴレーは、意外にも街は歩きなれていた。


平行世界を旅するうちに自然と覚えたらしい。街で目立ちすぎない服装、その着こなし方、良品を売る店の見分け方、安い店の見分け方など、様々な技術を習得していた。


しかし、女性をエスコートするスキルについては、ほとんど経験がない。


当たり前の話であるが、彼にアルマナ以外にエスコートする女性は存在しないのだ。


”平行世界で使命を円滑に果たすため”と習得を試みたこともあったが、いつも罪悪感のようなものがそれを止めていた。


アルマナと並んで歩くクォヴレーは、アラドやその他αナンバーズの彼女を持つ男性たちにコツを伝授してもらったのだが、今ひとつ役に立っていない。


さて、これからどうしようか、困ったぞ、と彼が思い始めたところで、アルマナがクォヴレーの袖をクイクイと引っ張った。


「あの……クォヴレー……クレープを食べて、いいですか…………?」


――――――――――――――――――――――――――――


次回、やっと完結?


αナンバーズのお兄さんたちには、普通のデートに使えるようなコツではなく、


もっと別の場所で使うようなコツを教わったらしいですよ?


何かはご想像にお任せします。


クォヴレーも姫もお互い初恋同士で、クォヴレーはポーカーフェイスだけど


心の中でひっそりと、でも確実に照れたり慌ててたりしているといい。


アルマナ姫さまは、言葉に出すこと全て本音。素直。正直。


だけど最近駆け引きというものを覚えてきたらしいとか。


なんだ、私が今セレーナ編をプレイしているからか。



三週間以上の間を空けて更新です。


見出しを付けなくてはいけないのに、その日一日全体の日記のタイトルをつけなくてはいけないのが


意外に大変なのです。何を書けばいいのやら。


以前の連載より短くするつもりだったのに、長くなることは確実である今回の連載。


文章を書くに当たって、表現力も必要だけど、纏める力も必要だと感じた次第です。


それでは本編どうぞ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


戦争の最中という混乱の中で始まり、複雑な背景の中でまだ平坦にならない道を歩む2人であるが、


この日ばかりは、いつもこの街路樹の並木道で休日を過ごす、仲睦まじい恋人たちになっていた。


2人の横を通り過ぎる者はきっと、片やこの銀河を救った英雄であり、片や遠い星の国の代表者であることに気付かないだろう。


アルマナがはしゃぎながら、鮮やか且つ落ち着いた色調を映した葉っぱを指差し、綺麗でしょうと楽しそうに目を細めながらクォヴレーに同意を求める。


クォヴレーもアルマナと同じように目を細めながら、そうだなと相槌を打つ。


普通の立場にいるとは言い難い2人は、街の風景の中に溶け込んでいた。


何も感じずに通り過ぎたはずの人たちは振り返り、これからすれ違う人たちの目がある一点に集まる。


人々の視線は、大人になりつつある少年少女を捉えていた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


うーん、短いですが、今日はギブアップ……。



中編その1としたのは、今日は書ききる前に力尽きて寝てしまうと思ったからです。


HTMLに直して読みきり1ページ分を目指してますが、文章量が多くなりそう……。


それでは本編どうぞ。


―――――――――――――――――――――――――――――――


クォヴレーとアルマナは、前大戦の最中に想いを抱きあう中となっていた。


戦いの中で密かに芽生えた恋の道のりは、決して平坦なものではなかった。


クォヴレーはαナンバーズの一員であるにしてもあくまで一人の兵士に過ぎず、


対してアルマナはバルマーの臣民の期待を背負って立つズフィル―ドの巫女である。


まず立場が違う。本人たちはつまらないことだと一蹴したが、周りの人間にとっては一大事であった。


特に、アルマナの場合は。


侍従のルリアや護衛のバラン、サルデスやヒラデルヒア、その他諸々のバルマーの者達がアルマナの告白を聞いた時は、それはもう大騒動が起きた。


ルリアは血の気が引いた表情でアルマナに真偽を問いただし、


バランは「あの小僧、姫様をたぶらかしおって!!」と額に青筋を何本も立て、白目を剥き出しにしてべミドバンの待つ格納庫に向かった。


そのバランの後ろに「私たちもお手伝いします」とサルデスとヒラデルヒアがついて行き、アルマナは


「あの者に何か弱みを握られたのですね」と涙ながらに自分勝手な解釈をするルリアを押し退けて


いざ出撃せんと戦意を高揚させながら準備をする武人3人を止めに行った。


クォヴレーの場合はどうだったかというと、それ程大きな問題にはならなかった。


確かに今まで敵方だった国の姫君と交際するというのは、外交上大きな問題になりうることなのだが、


αナンバーズの場合は二件ほど前例があったので、アルマナの場合のように騒動は勃発せず、


クォヴレーには仲間からの祝福と励ましの言葉が贈られたのであった。


アルマナがルリアやバラン、サルデスとヒラデルヒアを説き伏せたのもつかの間のことで、


大戦が終わり、クォヴレーが誰にも行方を告げず去ったことがバルマー側に伝えられると、


今度はルリアも一緒になって制裁をと叫びながら立ち上がったのだが、復興への問題を抱えている状態で


平行世界と飛ぶなどということは出来ず、もの悲しげに佇むアルマナを励ましたのだった。





「もうあの者のことなどお忘れ下さい」と、何度言われようと、アルマナは諦めずにクォヴレーを待ち続けた。


あの戦いの最中で、辛い出来事に揺らぐことなく心が通じ合ったのだから、今でも心は通じているはずだと言って。


姿を消してから半年ほど経過したある夜に、クォヴレーはアルマナの目の前に姿を表した。


すまないと切なそうに謝罪の言葉を入れた後、彼はアルマナに話し始めた。


これは一時の帰還であり、自分はこれからかなりの年月をかけて平行世界全てを平和にするために戦い続けること、


そのため、アルマナの傍にずっといることは出来ないこと、しかし、このように時々、ほんの僅かな時間にしか過ぎないけど戻ってくることが出来ること。


気休めにもならないかもしれない時間だが、それでもいいなら定期的に帰ってくると話したクォヴレーに、


アルマナはそれでもあなたに会えるのは嬉しいと泣き顔で笑って見せた。





誰にも知られてはいけない、静かな夜の逢瀬。


2人でいられる唯一の時間に変化が生じることになったのは、クォヴレーの一言がきっかけだった。





「αナンバーズへの挨拶も兼ねてだが……近々、そっちにしばらく滞在することにした。


 それで……良かったら、外に出かけないか?」


思わぬクォヴレーの申し出に、アルマナはすぐさまコクコクと頷いたのだった。


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